2011年6月9日木曜日

まだ帰ることは出来ない場所。

私は、地元が嫌いでした。
中学の時にここを出て行こうと決めました。
ここから出て、もっと広い世界を見たかったからです。

大学進学のため上京して、1年目は実家にはほとんど帰りませんでした。
こちらでの新しい生活の楽しさから、地元の事はほとんど考えていませんでした。

そんな日々を送っている中、グループ展を行う事になりました。
毎日テーマを考えていましたが、なかなか決りませんでした。
自分とじっくり向き合っていく中で、地元での思い出や友達・家族の事が頭を過りました。

少しずつ、自分記憶を辿り、故郷を研究していきました。
その中で、一番大切な事と向き合わず生活していた事に気づきました。

小さな頃は大好きだった場所が、思春期に入ってからは遊ぶ場所もなく情報も乏しい
つまらない場所になっていたのです。田舎出身ということがコンプレックですらありました。
東京という離れた場所で生活したため、あの村の素晴らしさに気づく事が出来たのです。

春の昼間に暖かい日の光を感じると、草木のにおいを思い出します。そして、そのにおいが
とても嗅ぎたくなってしまい地元に帰りたくなります。
春の夜の生暖かい空気を感じると、地元で嗅いだ春の夜の匂いを思い出します。

梅雨の夕方に、傘をさしながら少し肌寒さを感じながら家路に向かう時は
早く母が待つ暖かい家に帰りたいと思いながら通学路を急ぐ、わくわくした気持ちを思い出させます。


こんな風にふとした、匂いや季節を体で感じた時に
地元の空気感を脳が覚えていることがしばしばあります。

そんなとき、答え合わせをして合っていた時のような嬉しい気持ちになります。
なんにもない場所だったこそ、遊ぶものは自然と友達と家族と動物しかありませんでした。
毎日草花を集めたり、鳥のひなを観察したり、魚を捕まえて遊んでいました。

このような感覚をくれた地元という存在を誇りにおもいます。


あの場所には子供の私には、とてもいい環境でした。
しかし、まだ帰ることは出来ない場所なのです。

まだまだ、帰って落ちつくべきではないと考えるのです。

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